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浅草ファンタジカル:第一回公演レポート

■浅草ファンタジカルとは?

2024年5月3日(金・祝)、浅草木馬館(東京都台東区)で、未来俳優発掘・あさくさ新時代PROJECT「浅草ファンタジカル」第1回公演として、『新説桃太郎絵巻 鬼哭の島、桃の花』が上演されました。「浅草ファンタジカル」は、お伽話(ファンタジー)×ミュージカルを掛け合わせた新ジャンル。(一社)日本文化大衆演劇協会が主催、ルーラル・アーティスツ(株)が共催という形でタッグを組み、オーディションで選ばれた若手俳優・子役を、大衆演劇の現役座長がプロデュースします。公演場所となる浅草木馬館は、ふだんは月替わりで大衆演劇の劇団が公演している劇場です。第1回、第2回とも脚本は渡辺和徳が手掛けます。

■第1回アーカイブ配信

第1回公演はアーカイブ配信も決定。詳細はこちらより

■第2回オーディション受付中
7月の第2回公演『紅散鬼』は、鬼女・紅葉をモチーフにした物語。出演者オーディションのエントリーを、5月13日(月)まで受付中です。(中学1年~概ね28歳ぐらいまでの男女) 募集要項と稽古スケジュールはこちらをクリック! https://mirai-asakusa.jp/



さて、このレポートでは、第1回公演『新説桃太郎絵巻 鬼哭の島、桃の花』の稽古から本番までを追います。『桃太郎~』の主な出演者は、小学1年生~中学3年生でした。オーディションで選ばれた23人の子役が、一か月間の稽古を通して、役を自分のものにしていきました。

■稽古風景
稽古は9回行われ、たとえば4/14(日)たなか芸術スタジオでの稽古では、立ち回りを中心に確認しました。

演出を務めたのは三咲暁人座長(劇団暁)。子どもたちからは「あっきー先生」と呼ばれていました。全員の呼吸が合った、流れるような立ち回りは、劇団暁の特色の一つ。この作品の立ち回りも、きめ細かく仕上げていきました。特に、長谷川樹莉亜が中心になる難しい立ち回りは、朝から夕方まで、数十回繰り返しました。「スピードは良くなったんだけど、滑らかに見えない。焦りすぎかもしれないから、もう一度やってみよう」と、座長の姿勢には妥協がありません。

もちろん演技面も一人一人をチェック。大事な台詞は流れで言わず、ゆっくり聞かせると、台詞にメリハリがついてきました。



4/28(日)は、浅草公会堂集会室での稽古。本番が5日後に迫り、台詞も体の動きもしなやかになりました。苦戦してきた立ち回りが、しっかり体に入っています。

「鉢巻きを縛る場面は、お客さんのほうを見続けたほうが、絶対格好いい」という言葉で、キリッと前を見る桃太郎一行。

目立つ役の後ろでも、全員が自分の役の芝居をする。このことも身についてきました。

長老役の4人は、お年寄りらしい動き、台詞の言い方が板についてきました。

演出助手・高野愛「台詞って、そのときの相手役の気持ちで生まれてくるものだから、相手の言葉を受けて気持ちを作ってほしい。みんな、お芝居がとても良くなっているので、さらに上のレベルを要求しています」 

「本番、お客さんがいる前でやると、昼の部だけでヘトヘトになります。でも、昼も100%、夜も100%のみんなを見せたいじゃない。お客さんがみんなにパワーをくれるので、大丈夫だから」という言葉を、出演者たちは神妙に聞きます。

作曲・音響のSADA。稽古中も歌が盛り上がってくると、ノリノリで指揮します。

浅草木馬館の舞台の構造も考えながら、本番をイメージしていきました。たとえば幕前のシーンなので、感情を表しつつも、狭いスペースからはみ出さないようにするなど。

■本番

5/3(金・祝)、快晴の本番。昼の部と夜の部の2回公演です。開演前には、浅草公会堂前~浅草木馬館にかけて、お練りがありました。「浅草ファンタジカルです!」の呼び声とともに、出演者が群衆に手を振ります。ゴールデンウィークの浅草を訪れた人たちから、続々とカメラが向けられました。

木馬館は昼夜とも満員御礼でした。芝居冒頭は、稲澤穂、星川きらり、星川かのん、三ツ矢かけるの場面。緊張しつつも、堂々と芝居を披露しました。

化粧と衣装、光と影の演出、耳に残る音楽が、観客をファンタジックな世界へ誘い込みます。中でも、鬼チームのビジュアルの精度には感嘆の声が上がりました。三咲暁人座長、三咲愛羅花形、長谷川樹莉亜、美波、二代目和竜也が鬼になります。

物語全体のキーとなる、幼少期の桃太郎と犬彦が約束をする場面。比留間弥桜と佐藤末梨が、じっくり染み込ませるように演じました。

客席からドッと起きる笑いや、目頭を押さえてのすすり泣きという反応が、生の舞台の熱を上げていきました。大瀧結愛、稲澤ほのか、麻生詩、松永花奈、丸山果里菜による村の子たちは、芝居前半で活躍。日常が崩れていく緊迫感や、犬彦を勇気づける連帯感など、場面ごとのメリハリをみんなで作り上げていきました。

いっぽう鬼の手下役も生き生きしていました。定田桜歩、矢澤万智、三枝満理恵、松永晴士朗、大竹奈琉美による、敵役ながらキュートな手下たちは所々で笑いを起こします。手下たちの動きの良さが、桃太郎たちを強そうに見せている、というのは稽古のときから褒められていました。

刀の持ち方から始め、稽古を重ねた立ち回り場面。一人一人の「動き」、互いの「位置」、全体の「流れ」、いずれも完璧に決まりました。立ち回りが終わると、自然と拍手が沸き起こりました。

■ミュージカルならでは
桃太郎(川嶋美緖)、猿彦(高梨元秀)、雉彦(生出真太郎)が鬼ヶ島に旅立ち、途中で犬彦(田中暖真)が合流する場面。四人が伸びやかに歌う曲【仲間の歌】に、観客の大きな手拍子が重なります。ミュージカルという形式が、空間に一体感をもたらしました。

猿彦と雉彦の見せ場は、歌いながらの立ち回り。難度を感じさせず、魅せきりました。

犬彦が桃太郎に、「君がいるから僕は全然怖くない」と歌う場面は、犬彦のやさしさが歌詞の中に響いていました。



クライマックスで桃太郎と阿曽媛(三咲愛羅)が互いに歌い合う曲、【思い出して】の美しさは忘れがたいものになりました。阿曽媛の抱える悲しみと桃太郎の持つ救いが、歌声を通して結び付いていきました。

悲しみを乗り越え、芝居は大団円を迎えます。

芝居後の舞踊ショーも大盛り上がり。

また「響ファミリー」(響一之譲、響悠里伽、響梓翠、響悠壽、響海斗)と、映画『瞼の転校生』主演俳優・松藤史恩の特別出演もありました。

観客は大拍手で賞賛を送り、劇場は大成功の余韻に包まれました。早くも浅草ファンタジカル第2回公演への期待が高まります。『紅散鬼』の公演日は、7月13日(土)、7月14日(日)、7月15日(月・祝)です。

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